原子力発電所の再稼働をめぐる混乱を受け、政府はストレステストを参考に新たな安全評価を実施するとした統一見解を発表した。しかし、実施や評価の方法は具体化しておらず、地元自治体や経済界では、困惑の声が広がっている。経団連の米倉会長は、「これは自分たちが作り出した状況であってですね。説明責任を果たしていくというのが政府であって」と述べた。テーブルをたたき、怒りをあらわにしたその訳は。枝野官房長官は「電力需給の見込みにかかわらず、この福島第1原発の事故等をふまえた状況に鑑みる時、必要なものとして適切に実施をしていかなければならないと思っております」と述べた。菅首相が突然打ち出し、閣内不一致で混乱が続いていた原発へのストレステスト。11日、ようやく安全基準の政府統一見解が発表された。EU(ヨーロッパ連合)で行われているストレステストを参考に2段階の評価を実施。1次評価は定期点検のため停止中の原発を対象に、想定を上回る地震や津波にどの程度耐えられるか、安全裕度を評価し、運転再開の可否を判断する。さらに2次評価として、再稼働した原発も含めたすべての原発を対象に、総合的な安全評価を実施し、運転継続か中止かを判断する。これまで、再稼働や運転継続を認めるかどうかの判断に加わっていなかった原子力安全委員会も評価に参加することになったが、評価の実施時期や期間については明示されなかった。この統一見解に経団連の米倉会長は、「政府内でも、もう非常に混乱しているんで、このような政府統一見解なるものを発表せざるを得なかったと。こんなばかな話って、もう考えられないと思うんですね」と、強く批判した。またストレステストの方針に反発し、玄海原発2号機、3号機の運転再開の了承を撤回した佐賀・玄海町の岸本町長は、困惑の表情を見せた。玄海町の岸本町長は、「どういう調査をされるのかよくわからんけど、われわれとしては待つ態勢に入ったかなみたいな」と述べた。依然、不透明なストレステスト。行方次第では、夏どころか冬の電力不足に対する懸念も強まるとみられる。